香港で若手の人気風水師と言えば、李丞責氏(40)が断トツでしょう。
しかも、2010年の大胆予測は、風水師の間でも衝撃的な内容です。
「今年は北朝鮮で大爆発が起きて驚天動地の大事件が発生する。代表的人物(金正日総書記)やその家族が孤独に死地へ旅立つ」
「少数民族が中国から分離独立する動きが発生し、動乱が起こる」
「日本は2010年、鳩山内閣が倒れる恐れがあるが、景気は改善し、失業率悪化も峠を越える」
これらの大胆予測の中で、とくに北朝鮮に関する予測はかなり高確率で的中するような言い回しです。
私が最初に李丞責(り・じょうせき)氏を知ったのは、香港に滞在していた2005年ごろです。
2004年に香港で新型肺炎(SARS)が大流行し、香港で不景気が直撃。香港人の不満は香港と隣接する中国広東省が感染源でありながらSARS対策を水際で防ぐことができなかった香港トップの董建華(とう・けんか)行政長官に集中していました。
2004年7月には香港で約53万人の反政府デモが展開され、私自身も現場にいましたが、「董建華 下台(辞任せよ)!」のプラカードも多かった記憶があります。当時、李丞責氏は雑誌で「董建華行政長官は近く辞任する」と断言。実際、2005年3月に董建華氏は辞任し、的中したことで李丞責氏は注目を集めるようになりました(香港をよく知る者としては、これほど香港最大規模のデモが展開されれば、辞任は当然の流れと思うのですが、辞任するタイミングはいつか、ということは非常に難しい状況だった記憶があります)。
李丞責氏はこれをきっかけにテレビや雑誌、新聞コラムでも引っ張りだこで、香港の人気風水師である盧恒立(レイモンド・ロー)氏などに次ぐ知名度になっています。若手風水師としては圧倒的人気です。
李丞責氏は祖父、父と続く風水師の家の生まれ。しかし、小学校時代、キリスト教系の学校だったこともあり、担任教師から「予知は悪魔の仕業」と教え込まれ、風水に懐疑的な時期もあったそうです。
それでも、父親は幼少期から郊外の山に修行に連れて行って、一緒に遊びながら風水を分かりやすく教えてくれていました。当時、父親は父本人が何歳で亡くなるかや李丞責氏がクリスマスイブに泥棒に遭うことなどを予言。ピタリと当てました。李丞責氏が風水を信じ、真剣に学び始めるスタートとなったのです。
本人は19歳で開業。風水師として人気が出始めた35歳ぐらいからメディア露出が急に増え、2009年、北京の大学で天文学博士号を取得。香港映画スターを多く育て上げて中国に売り込んだ大物プロデューサーの黄栢高氏のアドバイスを受け、風水ビジネスでの中国進出を準備しています。
香港は人気風水師がたくさんいますが、北朝鮮指導者の死を予測するという大胆なものは初めて。金日成の死亡についても予測していた予言者は、たしか韓国でいたように思いますが、香港の風水師がこのような予測を堂々と発言するのは異例中の異例と言えます。
ただ、北朝鮮指導者の死期を李丞責氏が予言するには、それなりの理由があります。
李丞責氏は60年周期説を採ります。干支は60年で一循します。60年で歴史は循環し、スパイラルのように同時代性を持っており、アーノルド・トインビーの歴史論のように「歴史は繰り返す」との見方をしています。もちろん、時代によって、環境、背景は違ってきていますが、その国の置かれた状況、衰運か旺運か、などは酷似すると見ています。60年周期説は、李氏が独自で発案したものではなく、中国古来からの干支による周期説です。私も、この見方は国運を判断する上で非常に予測としては的中しやすいと思っています。
李丞責氏いわく、たとえば、1941年、日本が真珠湾を攻撃しましたが、60年後の2001年、米国で911テロが発生。1943年、香港が日本に支配された時期に疫病が流行し、2003年、新型肺炎(SARS)が香港で流行し始めました(李氏がかなり日本を意識していることがよく分かります)。
1945年、日本が敗戦となり、香港が日本から解放され、2005年には香港の経済が再興して急落した不動産価格も改善し始めました。1947年、国共内線が起こり、中国大陸の資金が香港に大量に流れましたが、60年後の2007年、香港経済が中国依存を強め、中国大陸の資金が香港に大量に流れるようになりました。1948年、蒋介石率いる国民党が台湾に入り、60年後の2008年には馬英九氏が台湾の総統となって国民党が政権を奪還。1949年には中華人民共和国が成立し、2009年には中国経済が強大になって経済復興が際だってきています。
そして、1950年。朝鮮動乱が起こり、中国共産党軍と結託した金日成率いる北朝鮮軍は韓国側に南進。ダグラス・マッカーサー率いる米軍が仁川上陸作戦を展開して巻き返し、現在の38度線で朝鮮半島は南北に分断されました。
それから60年後の2010年は必ず朝鮮半島情勢が大きく激変するというのが李丞責氏の予測です。今年は八白土星中宮の年。偶然の事柄が重なって発生しやすく、社会的には大きな団体が新たに出現し、重大な人事変更が行われ、国家指導者やそのブレーンに大きな変化が起こるとしています。北朝鮮情勢は大きく変化するという理由は干支や60年前の国際情勢から細かく見ていっての予測ということになります。
李丞責氏の予測は、突飛なものではなく、彼なりの歴史観、八字風水を通した予言として興味深い内容です。私自身は2010年、北朝鮮情勢は大きく変化し、北朝鮮指導者の交替を含め、南北関係が大きく変化すると見ています。