東風西風の易学的な意味
中国に住み、春夏秋冬を中国の山川草木で感じると、易の八卦が身にしみる。
日本では、古来、春になって吹く東からの風を「東風」と書いて「こち」と呼ぶ。
「ち」は風の意で、「霊」の読みとしての「ち」。
自然物の威力・霊力を表し、「いかずち(雷)」「おろち(蛇)」。
風と霊は深い関わりがあった。
天地自然とともに生きてきた日本人は、自然の移り変わりに神々や霊の意思を読み取ったのだろう。
中国湖北省武漢で古くから行われてきた筮(ぜい)の原型を湖北省博物館で見た。
洪水と干ばつを繰り返す長江が流れ、天変地異が生命の損亡を左右する時代だった。
天地自然と運命を共にしたのは中国人も一緒。
卜(ぼく)はそんな中から生まれた。
天変地異の背後には易の原理原則があり、それをいかにすばやく察知できるか、死活問題だった。
今の日本も、東日本大震災を通して、自然の驚異に新たな対処をしなければならない時期に来ている。
人間が作った科学技術では、天変地異の未来予知は到底、十分とは言えない。
自然の根源にある動きを問う時、易はその深い意味を持つ。